憩室とは
大腸憩室は、大腸粘膜にできたポケットのようなくぼみです。
憩室自体は特に症状を起こすこともなく治療の必要はありませんが、憩室部分の腸壁は引き伸ばされて薄くなっているためダメージを受けやすく、出血や炎症を起こすことがあります。
憩室が起こる原因
便秘で腸管内の圧力が高くなって腸壁が部分的にふくらんで飛び出して発生することがよくあります。特に排便時の強いいきみなどで腸管の内圧が高くなると弱い部分が飛び出してしまいます。
また、ストレスや緊張の影響で腸が強く収縮して腸管内の圧力が上がり、憩室ができることもあります。
症状
憩室自体には特に問題がありませんが、炎症を起こした場合には、腹痛や発熱などの症状を起こします。
- 腹痛
- 発熱
- 吐き気や嘔吐
- 腹部膨満感
- 腹部の不快感や圧迫感がある
大腸憩室炎では、強弱の波がある腹痛が現れることが多くなっています。進行すると腹痛や発熱などを起こすことがあり、炎症が悪化すると大腸粘膜に孔が開く穿孔を起こすこともあります。
穿孔は腹膜炎や敗血症などにつながる危険な状態ですので、救急外来を受診する必要があります。
検査・治療
大腸カメラ検査を行って、腸壁や憩室の状態を正確に把握します。
大腸憩室炎の場合には、穿孔などの可能性が高い場合に手術が必要になることもありますが、ほとんどの場合は絶食や流動食で腸の安静を保ち、抗生物質による治療を数日程度行うことで症状が改善します。
当院はおなかの張りがない大腸カメラを行っています
大腸は曲がりくねっていますので、ヒダやシワがたくさんあります。そうした部分に隠れた場所もくまなく確認できるよう、大腸カメラ検査の際には気体を送気して腸をふくらませて確認しています。
従来の大腸カメラ検査では普通の空気を送っていましたが、強いおなかの張りが長く残ってしまいました。おなかが張った苦しさが続くのも不快ですが、検査後、急におなかが大きく鳴ったり、知らない間にガスが漏れたりすることもありました。
当院では、おなかの張りを短時間に解消できる炭酸ガス(二酸化炭素)を送気するシステムを導入しています。空気に比べて炭酸ガス(二酸化炭素)は吸収が早く、二酸化炭素として呼気で自然に排出されるため、不快な症状の改善だけでなくお身体への負担も減らせる安全性が高い方法です。
実際の効果を確かめるために、炭酸ガス送気システムを使った大腸内視鏡検査を行った直後に撮影したX線写真では、検査直後ですでに注入された炭酸ガスが腸管内にほとんど残っていない状態と確認されています。大腸カメラ検査は検査後のおなかの張りが気になると感じていた方にもおすすめできます。
憩室炎の予防
憩室ができないようにするためには、腸管の内圧を上げないようにすることを心がけることが有効です。
便秘や肥満の解消、強いいきみや長いいきみを避けるためにも食物繊維の多い食事を心がけ、水分をしっかりとって、適度な運動を習慣付けましょう。規則正しい生活で正しい排便習慣を取り戻すことも重要です。
また、腸への刺激が強い香辛料やアルコール、カフェインはとりすぎないよう心がけてください。