憩室出血とは
大腸憩室はポケット状のくぼみが大腸粘膜にできている状態です。腸管の内圧が高まって腸壁の弱い部分がふくらんで飛び出てしまっていますが、ほとんどの場合は無症状であり、特に治療する必要はありません。
ただし、大腸憩室は大腸粘膜がふくらんで引き伸ばされているため構造的に弱く、憩室の血管は出血を起こすことがあります。憩室の血管が破れて出血している状態が、大腸憩室出血です。
年齢では高齢者に多く、男女では男性に多い傾向があります。 肥満があると大腸憩室出血の発症リスクが上昇すると指摘されたことはあります。
大腸憩室出血は、繰り返し出血することがあり、大量の出血を起こすこともあり、救急受診が必要です。
原因
大腸憩室の血管がもろくなり、突然裂けてしまって発症します。
肥満、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの服用が出血リスクを高めることがわかっています。近年、腰痛や膝痛、関節リウマチなどの幅広い疾患の治療で痛み止めとして非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を処方されることが増えているため、大腸憩室出血の発症数が増加傾向にあるとされています。
また、市販薬にも非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が含まれているものがありますので、大腸憩室がある場合には注意が必要です。
症状
突然、血便を生じます。痛みを起こすことはほとんどありません。
排便後に大量の血液が出てくることが多く、大量に出血している場合には、何度も血便が出る場合があります。出血量が多いと、立ちくらみやふらつき、頻脈や動悸といった貧血の症状を起こすこともあります。
検査・診断
洗腸剤を服用してから大腸カメラ検査を行って、出血している場所や状態を確認します。洗腸剤を服用しない場合、便に邪魔されて途中までしかスコープを挿入できないことがあります。
内視鏡による止血処置を行うためにも、洗腸剤を服用して大腸全域をしっかり確認する大腸カメラ検査が基本になります。 造影CT検査でも出血源を確認できることがありますが、止血処置はできません。
治療
一時的に大量の出血を起こしますが、腸管の安静を保つことで70~80%は自然に止血されます。ただし、出血が続く場合には、大腸カメラ検査時に内視鏡による止血を行います。
内視鏡による止血では不十分な場合や、何度も出血を繰り返す場合には、カテーテルによる動脈塞栓術や腸管を切除する外科手術が必要になることもあります。