食道がんとは
扁平上皮がんと腺がんの2種類に大きく分けられ、日本では食道がんの90%以上を扁平上皮がんが占めています。腺がんは逆流性食道炎による長期的な食道粘膜の炎症が発症に関与するとされていて、欧米で多く、食事が欧米化した日本でも今後増加する可能性が示唆されています。
日本で食道がんと診断されるのは年間10万人あたり約35人で、男女の内訳では男性30人、女性5人と男性の発症が多くなっています。年齢別の罹患率や死亡率は40代に増加しはじめますが、胃がんや大腸がんよりも遅い70代にピークを迎えます。
また、異なる部位にがんが同時に発生する重複がんが約20%に生じるとされていて、胃がん、咽頭がん、喉頭がんなどが多くなっています。咽喉、喉頭、食道、胃、十二指腸は胃カメラ検査で詳細に粘膜を調べることができますので、重複がんの早期発見にも胃カメラ検査は有効です。
症状
初期には自覚症状を起こすことがほとんどなく、早期発見には症状のない段階で胃カメラ検査を受けることが必要不可欠です。
がんが進行すると、飲み込む際の違和感、しみる感じ、つかえ感、体重減少、胸・みぞおち・背中の痛み、咳、声のかすれなどの症状を起こします。特に、食事する際に食道つかえ感がある方は、早急に胃カメラ検査を受けることが必要です。
原因
扁平上皮がんと腺がんでは危険因子が異なります。扁平上皮がんは、喫煙、飲酒、飲酒すると顔が赤くなる体質、熱いものを習慣的に飲む、食道アカラシアなどが主なリスク要因です。
特に飲酒や喫煙は最大の危険因子とされていて、お酒が弱く飲酒ですぐ顔が赤くなる体質の場合には、習慣的な飲酒によって食道がんや咽頭がん、喉頭がんのリスクが上がることがわかっています。これは、アルコールが体内で分解される際にできる発がん物質のアセトアルデヒドの分解が遅く、蓄積されてしまうことが原因とされています。
腺がんの場合は、食道粘膜の慢性的な炎症がリスクになるとされています。特に慢性的な逆流性食道炎の進行によって食道粘膜の下部が胃粘膜に変化するバレット食道は、腺がん発症のリスクが高い状態です。
逆流性食道炎は、肥満や喫煙、欧米型の食生活、姿勢などの生活習慣によって再発を繰り返しやすいため、消化器内科を受診してしっかり治し再発を防ぐことが重要です。また、食道がんの腺がんは、ピロリ菌陰性でもリスクが高くなることがわかっています。
検査
早期の食道がんの発見には、画像強調システムや特殊な光、拡大などの機能が搭載された最新鋭の内視鏡システムを用いて経験豊富な医師が行う胃カメラ検査が不可欠です。胃カメラ検査では疑わしい組織を採取できますので、病理検査を行って確定診断も可能です。
当院では、大学病院レベルの高度な内視鏡システムを使い、検査・画像診断経験豊富な医師が胃カメラ検査を行っています。鎮静剤を使って眠っているようなリラックス状態で受けていただく検査も可能ですので、安心してご相談ください。
治療
早期であれば、内視鏡による治療が可能です。ある程度進行している場合には、外科手術、放射線療法、化学療法を組み合わせた治療が行われます。検査結果の総合的な評価に加え、進展度や全身状態、患者様の年齢やライフスタイルなども考慮し、治療法を検討します。
早期発見できれば内視鏡による治癒切除が可能であり、お身体への負担が少ないため回復も早くなります。リスクの高い方は定期的に胃カメラ検査を受けて早期発見に努めましょう。