胃底腺ポリープとは
胃粘膜にできる良性の隆起で、ピロリ菌に感染していない健康な胃粘膜にできることが多いとされています。
複数発生することも多く、胃底腺の粘膜が萎縮していないことが多い。非腫瘍性ポリープであり、胃がんとの関連性が低いとされています。ごくまれに胃底腺ポリープからがんが発生したという報告はありますが、ほとんどの場合は経過観察でよいとされています。
日本では下水の整備が進むなど衛生環境が改善し、ピロリ菌感染者数が減少傾向にありますので、今後は胃底腺ポリープの患者数が増えると考えられています。
逆流性食道炎の治療などでプロトンポンプ阻害薬を服用すると胃底腺ポリープのサイズが大きくなる、数が増えるといった指摘もされています。
症状
基本的に無症状ですが、同時に発生している慢性胃炎の症状として、胃もたれ、胃の不快感、食欲不振などを起こすことがあります。
検査
胃カメラ検査を行ってポリープの数や大きさ、できた場所などを正確に把握します。また胃カメラ検査中にポリープの組織を採取できますので、病理検査を行って確定診断やポリープの詳細な情報を得ることができます。
治療
胃底腺ポリープは検診で指摘されることが多いのですが、病気ではなく細胞が肥大化したものであり、基本的に治療の必要はなく、経過観察で問題ありません。
ピロリ菌感染陰性で、胃酸分泌が多い若い方の発症が多く、加齢と共に減少していきます。また、最近ではピロリ菌除菌後、年月が経ってから発見されることもあります。ただし、腫瘍性のポリープが多発する家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis;FAP)という遺伝性ポリポーシスによって胃底腺ポリープが多発する場合、胃がんの発症につながる可能性を考慮した経過観察が必要になるとされています。
当院では消化器内科を専門とする医師が診療を行っており、こうした疾患の可能性も考慮した質の高い診療を行っています。